2010-01-01から1年間の記事一覧

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昨日の読書記録では本の名前を並べただけだったけれど、改めて、一年間を振り返って日記を書こうと思う。明日は22時半までバイトなので、おそらく終わってからだと何も書けない。ということで、2010年最後の日記である。 思えば昨年末は、就職のために英語や…

読書記録2010

年の瀬ですね。忙しい一年でしたが、それでも自分の好きなことは続けてやろうと読書に励み、結構な量を読むことができたと思ってます。読んだ本のタイトルを並べるだけで、そのときの記憶が甦って懐かしい気持ちになります。貴重なアルバムみたいな言葉の羅…

流れる言葉の岸辺から

見知らぬ人間によって書かれた言葉を「読む」という行為は、実は謎めいており、そこに付与された意味を正しくわれわれが読み取れているのかどうか、非常に危ういと言えるのではないだろうか。言葉から意味を汲み取ることの不思議さを、そのままこちらに投げ…

現代に打ち立てられた説話

時間は一本の線のイメージとして捉えるべきものだろうか。過去から現在、そして未だ来ない時に向かって、抗えない流れのなかをわれわれは生きているのだろうか。 われわれのいる場所を現実と呼ぶならば、それは正しいかもしれない。 けれど、物語は、あるい…

それぞれの表現のあいだで

誰かに向かって自分を表現する方法はいろいろあって、それぞれの方法が、まったく別の角度から世界を切り取って、受け取る側に新しい何かを与えてくれる。 話すこと、書くこと、描くこと、歌うこと、演奏すること、多様な中でも共通しているのは、それまで世…

社会から世界へ

――社会とは一体なんであろうか。 山崎ナオコーラ[著] 『この世は二人組ではできあがらない』(新潮社) 大きな問題提起から始まるこの小説の、登場人物は主に二人。小説家を目指す「私」と、学年で言えば一つ上の、紙川さんという男である。「私」は教育出版…

言論の自由で

書かれたものを読むこと、ものを書くことを続けていて良かったなと心から思う、と今日のことを言うのは大げさだろうか。でも、正直まだ夢見心地な余韻は尾を引いている。 大好きな作家の一人である川上弘美さんが、大学にいらっしゃったのである。うちの大学…

擬態する世界の向こう側

卒論を書き続けているわけだが、今日は髪を切ってもらいにいこうと昼過ぎに出かけた。高校時代から切ってもらっていて、就活中もいろいろと気持ちの波が激しいなかでお世話になったので、内定報告ができてよかった。安堵する表情を見たとき、心配をかけてい…

斜めに切られ、光る断面

山崎ナオコーラ[著] 『浮世でランチ』(河出文庫) ナオコーラさんの小説を読むのは先月末の『カツラ美容室別室』(河出文庫)に続いて2作目で、少しずつ、その文体の特徴というか、考え方もわかってきたような気がする。柴崎友香さんや長嶋有さんらと比較し…

焼肉でも食べにいきたい

昼前から昼過ぎまでの3時間ほどの研修のために、祝日とはいえ地下鉄に揺られ、内定先に向かった。途中で何やらリクルートスーツの学生と思しき人が続々電車に乗ってくる。確かめていないのでわからないのだが、多分どこかで合同企業説明会があるのだろうなと…

あつい日

先日、急に冷え込んだ日からというもの、寒いのが苦手なので真冬に向けた重装備で出かけるようになったのだけれど、今日は見事に暑かった。外はそうでもないのに、室内はもう若干の汗が滲むという残念な事態で、暖房の効いた書店に長時間いられないのがつら…

書き換えられない記憶

久しぶり、と4人ぐらいに言った一日だった。みんなそれぞれ数ヶ月ぶりに会ったうえ、数ヶ月の間にあまりにいろいろあったせいで、以前会ったときの記憶が遥か遠かった。でも、いざ再会してみると記憶というのは図らずも甦るもので、振り返る対象になってしま…

燃え尽きた星の光を見つめるように

どんな作家がそれを書いたのかを知っていようといまいと、書き出しから読み手の心を鷲掴みする小説というのが、世の中には溢れている。立ち読みで初めて読んで心が揺らぎ、そのときは買わずに帰っても、そこで生じた波紋はどんどん大きくなって、やがてはし…

読書間奏文

買いだめした本が文字通り山のようにあるのに書店に行ったので、読みたい本がまた増えた。まあよくあることではあるけれど、今読んでいる本がまだ読み終わりそうになくて感想を書けないため、読みたくなった本のリストを感想と感想の間に書いてみようと思う…

近況と言えば近況

土日はちょっと書きたいことがなかったのと日本シリーズ観戦に没頭していたのとで書けず、昨日は書こうと思っていたんですが、諸事情によりパソコンが使えず書けませんでした。そんな、今月はなんとしても毎日書いてやろうという意気込みがいきなり潰えると…

文章の連続写真

読み始めた本が、読み終わるまでのあいだに賞を取るなんて、なかなかタイムリーな偶然だと思う。国を揺るがす問題も起こっているが、それはそれ。 柴崎友香[著] 『寝ても覚めても』(河出書房新社) 発売日に買いに走ったけれど、就職先が決まるまでとってお…

磨り減った革靴が踏みしめた道は

明日は内々定をいただいた企業に、意志確認の面談に行く日である。確認されるまでもなく、電話越しに入社の意志を明白に示してしまっているし、選考はすべて終わっているのだから気を楽にしていけばいいのだけれど、やっぱりいろいろと思い出して、変に緊張…

まさに、あるようなないような

普段よく耳にしたり、何気なくしゃべる内容のなかに登場していたりするけれど、誰もそれそのものを見たことがないもの。それがなんと商品として販売されていて、書店にそのカタログがひっそりと置いてあった。創業は明治らしい。老舗である。 クラフト・エヴ…

貴重すぎる偶然は小説のように

久しぶりに連絡した親友に、いつ会おうかと訊ねたら、どういうわけか彼の大学の学園祭へ一緒に行くことになった。就職先が決まっていなければまず行くことはなかっただろうけれど、一緒に行くかという電話越しの誘いに二つ返事でうなずいたのは、それだけが…

静かなる魂の旅立ち

晴れて就職先が決まったら、まず真っ先に買おうと決めていたものがある。何が何でも絶対に買ってやろうという、ある意味このために内定を取りにいったのではないかと思わないでもないが、それはまあ、明らかに言い過ぎである。 で、一体それが何なのかと言え…

「気まずさ」の文学

青山七恵[著] 『お別れの音』(文藝春秋) 最終面接で支給された交通費と同額だった1冊である。そして就職先が決まった瞬間から始まる恍惚の読書ライフの第一歩となる1冊だったりもする。明るい物語ではないけれど、就職活動へのお別れという意味に取れば、…

終止符

今日14時ごろ、内々定の連絡をいただきました。 来週、面談含めて承諾書などをもらって、正式に内定だそうです。 長い長い道のりでした。けれど、あとのない状況下で、納得できる就職先に自分を受け入れてもらえた結果なので、喜んで入社を決めたいと思って…

友情は続く

せっかく仲良くなったのに、すぐに簡単には会えない距離に遠ざかってしまったときのような、気持ちの波紋が、読後の余韻としてしっくりくるのではないだろうか。ぬくもった心に突然吹き込む、ほんの少し冷たい一陣の風は、駆け抜けたあとに切なさといとおし…

磨り減った革靴のぶんだけ考えたこと

最終面接前夜ということで、眠りにつけそうもないので、久しぶりに自分の気持ちを整理しようと思う。長らく就職活動のことはここに書くことをやめていたけれど、それはある意味、書かずにいられたとも言えるのかもしれない。 必死になって、自信を持ってとか…

つれづれなるままに

ゆるい作品というのは意外と数が多い。これまで特に、川上弘美や堀江敏幸、幸田文の作品をはじめとして、そのささやかながらいとおしい瞬間というものを文章のなかに幾度となく垣間見てきたけれど、今宵自分のゆるい読書の遍歴に、新たにひとりの作家が加わ…

近況めいたものと次回予告

なんかこっちの時間が止まっているような気がしないでもないので、ゆるく更新でもしようかと思います。それほど書きたいと思うことが多くはないからというのと、気持ちに多少の余裕が生まれたのとで、意味のあるのかないのかさっぱりわからないことをだらだ…

デッドラインの襲撃

確かに、思ったことをつぶやいているとわざわざここに何かを書こうと思わなくなるのもわかるけれど、先週全然日記を更新しなかったのは単純に忙しかったからです(言い訳) プレゼンと逆面接を含む選考に受かったとのお知らせを聞いた先週の半ば、別の企業に…

履歴書の筆跡をたどって

10枚1組の履歴書がなくなって、同じものを買い足すとき、重なっているのに気付かず2セット買ってしまったのだが、その2セットめがそろそろ尽きようとしている。レシートを見て、あれ、と思い、いくらなんでもそんなにいらないだろうとその20枚の厚さに笑って…

選考は続く

懸念していた一次選考が終わりました。これまでいろんな企業を受けてきたものの、選考途上でプレゼンをするのは初めてだったので、準備を含めてどの程度のものをつくればいいのか悩みましたが、本番では緊張より楽しさが上回りました。 10月に入ってまで就職…

報告も兼ねつつ

柴崎友香さんの『よそ見津々』(日本経済新聞出版社)、さくっと読み終えました。松岡正剛さんの『フラジャイル』(ちくま学芸文庫)も読み終えているのですが、全部感想を書き出す時間的余裕がありません。 とりあえず『よそ見津々』のほうだけ感想を書くと…