2010-04-01から1ヶ月間の記事一覧

ことのはざくらを仰ぎみる

暖房をつけなければ凍え死んでしまうほど寒いわけではないけれど、ある程度着込まなければ眠りにつくには肌寒い。冬の名残は消えかけていくのに、春が来ているとも断言できないようなはっきりしない感じは、まるでどこかの国の首相のようで。 とは言いながら…

写真より鮮明な言葉のアルバム

幸田文[著] 『草の花』(講談社文芸文庫) 時代を越えても褪せることなく伝わる文章に出会うというのは、なかなか稀なことである。現実をもとにして書かれたものである以上は、基盤となるその時代があるし、時間が経てば経つほどその「当時」は古びた印象を…

迷走と靴擦れと

道に迷う、ということを久々に経験した気がします。 説明会で一度訪れている会社だというのに、駅の出口を間違えただけでえらい目に遭いました。到着したのが面接開始5分前だったので、遅刻ではありませんがいろんな意味で汗だくでした。 肝心の面接ですが、…

覚悟を決める日付

年をとりました。が、そんなことより明日は面接です。 ついでにESの締め切りでもあるんですが、そっちはなんとか今日書き上げて郵便局に持っていきました。睡眠時間を削りに削った結果、今日は起きたら学校に間に合わない時刻でしたが、そのおかげで郵送が間…

止揚から転回へ

自然体、というのはなかなかややこしい言葉である。 面接において自然体で臨むことが最善なのはよく言われる通り当然だが、それはありのままの自分を出すこととイコールではない。社会に合わせた価値観のレベルで自然な自分を表現することが必要になってくる…

新しい何かが眼ざめる

意識を傾ける方向を変えようとするとき、言葉のダムができる。 物語を紡いでいく語彙と、社会に対して自分を語る語彙には、少なからず隔たりがある。表現の方法が異なるのだから無理もないが、就職のために使う語彙は、どう組み合わせても手垢がついた表現に…

うごきだすあれこれ

同じ業界内で売り上げを競い合う企業のことを「競合他社」と言いますが、ならば同じ企業の選考に挑み内定を争う相手のことを「競合他者」と言うんじゃないか、とくだらないことを考えました。 ……考えただけなので特にオチがあるわけでもありません。ご了承く…

ある意味、力への意志

昨日の午前中に『1Q84 book3』は読み終えていたのですが、日記を書くタイミングを逸してしまったので今日書きます。周知の通り売れている本なのであまり感想は書きたいと思わないんですけど、記憶にとどめておくために少しだけ述べておくことにします。 全3…

言葉と神とが等号で結ばれるとき

残り四分の一ぐらいのところまできました。寝不足必至です。 知識欲ばかりが刺激される毎日を送っている気がする。就職しても、人文科学的な知識を蓄え続けたい。まずはある程度の収入をためて、そこから院に行くのも全然ありだと思う。 まあ、いざ仕事を始…

ページをめくる手をとめて

停滞が続く。 小説をさあ書こうと思う瞬間が『1Q84』と重なってしまうと、残念ながらどうすることもできない。現在半分より少し手前。順調に読み進めてもまだしばらくは読み終わらないと思う。月曜にまた説明会があるので、それまでに何とかできれば。 そん…

別の危機感が迫る

携帯電話を充電するとき、赤いランプが点る。充電が終わるとそのランプは消えて、画面上の電池のマークが満タンのサインを示す。 ふと、自分のなかでそのランプが消えたような気がした。 そろそろ立ち上がろうか。そういう気持ちになっている。何に対しても…

五感を潤す言葉

さて、おにぎりの話に続いて、食に関わる言葉の話を書いてみる。 日本文学の講義で、よしもとばななの『キッチン』を扱うものがあったので、高校1年のとき読んで以来だったものを通学中に再読した。 ――でも人生は本当にいっぺん絶望しないと、そこで本当に捨…

米粒がつくる共同体

昨日学内の購買で、三角ではなく丸いタイプの、見慣れないおにぎりを見つけた。 「直巻 ちらし寿司」と書いてある。 友人と物珍しげに見る。 「…………ちらしてへんやん」 「あ、ほんまや」 とりあえず声を上げて笑ったあと、ちらし寿司の定義について議論が始…

ただ名前だけがなく

氏名、と書かれたそのとなりに空欄があったらまず自分の名前を書くというのが当然だが、ペンを握っていざ書こうと思ったそのとき、ふと自分の名前が頭の中から抜け落ちていて、自分が一体何なのかわからなくなる瞬間が、もしあったとしたら。 記憶を辿ろうに…

再出発への明暗

明日は説明会です。もはや数少ない持ち駒の一つなのですが、結構楽しみにしていた企業だったりします。これまでの結果が見事な敗北ぶりなので、しばらく面接の予定はなさそうなのがつらいところではあるんですけど、できることからやるしかないのは今さら言…

待っていたひとひら

もう東京に行くことはしばらくなさそうです。 喪失感で胸がいっぱいという、まさに「あるようなないような」。 と、わかるひとにしかわからないたとえを用いるのもあれなので、はっきり言います。 第一志望だった企業からお祈りのメールをいただきました。 …

知のゆたかさをもとめて

今年度は文学にじっくり時間を割きたいなぁと、就職が決まらないなか授業を受けて思った。絵画史を中心に昨年度は芸術の授業が多く時間割を占めていたけれど、シラバスを見るかぎり、あまり授業内容が前年度と変わらないので、ウエイトを日本文学と本業の哲…

越境する言葉たち

楽しかったと感想を持った大阪での一次面接に残念ながら受からなかったという旨を伝えるメールがきて、小さくため息をつく。小さいため息で済んだということは、大して志望していなかった証みたいなもので、しばらく時間が経った今になっても、また一つ持ち…

束の間の非現実にて

伊坂幸太郎[著] 『オー!ファーザー』(新潮社) 東京へ行った帰りに京都で買った本です。まあ買った場所はともかく、おととい読了しました。久々に読んだ伊坂作品ですが、新聞での連載が終了して3年が経ってからの刊行ということもあって、あとがきで「第一…