2014-01-01から1年間の記事一覧

読書記録2014

一年の振り返りは、つねに読書の振り返りとともにある。今年読んだ本を思い返すことが、そのときどんなことを考えていたかを思い返すことにつながって、新しい一年へと続いていく。これを書かなければ一年を終えられないように思え、今年もまた、ささやかな…

満月を見上げて

忙しさに慣れた、というのがここ最近の実感で、なんとかなる、の幅が広がったように思う。いろいろなことを考えて生きていたいけれど、そんな意志を越えて、仕事のことばかり考えている。厳しいことも言われるし、求められることが高いのも相変わらずではあ…

手詰まり

120%仕事をしているけれど、150%仕事をしている人たちから、その30%分を怠っているように見られている、そんな感じがする。すでにどうしようもないレベルなのだが、着手の遅さや段取りの悪さを指摘され、もがく日々。頑張っているだけでは何にもならないのは…

まなじりを決して

今年もいよいよ、仕事上の夏が始まる。四年目になるけれど、今年はかつてない、最高峰の舞台で迎える夏になった。しかも、頂点を目指して闘うための武器は、ここまで時間をかけて、自分で作った武器である。素材を選び、組み合わせ、研ぎ澄ませた、付け焼き…

鮮烈な幻想的現実

1冊の本を、少し時間をかけて読み終えたに過ぎないのに、なにか、何冊もの本を読み終えたような読後感に包まれて、感想を書いている。ちょうど読み始めてから1週間経つのだと振り返ってわかったけれど、本当に1週間だったのだろうかと、不思議な記憶の歪…

宵闇を彩る恐ろしさの絵筆

日が傾いて、薄暗くなってくる時間に、それでもまだ遊んでいたくて、なかなか帰ろうとしなかったことがある。公園を出て、いざ帰ろうとするころにはすっかり夜に包まれてしまい、無事に帰れるように自転車をこぐ足にも力が入った。 夜道を帰ることなど、大人…

涓滴

滴るしずくが石を穿つように、日々の全力が、わずかな一滴となって落ち続け、3年が経っていた。向こう側を見通せるほどの穴が開くまでは、まだまだ到底及ばないけれど、ささやかな窪みができている。窪みは着実に、水を蓄えられる大きさになっていく。意味…

気が付けば雲の上

3月から、また大きく環境が変わる。入社してから、2年同じ場所で働いて異動し、今年1年新天地で働いたら、4年目を迎えるにあたってまたしても、部署が変わることとなった。 よくわからないうちに過ぎ去った1年目、自分の特徴を発揮できる部分がわかりか…

物言わぬモノとなって

死者が語る声に耳を澄ませる物語には、幾度となく出会ってきたけれど、死者として、残されたひとたちを見つめる物語は初めてだった。 東直子『とりつくしま』(ちくま文庫) この世に未練を残したまま亡くなったひとが、「とりつくしま係」によって「この世…

【小説】線香花火

僕と彼女が花火をするとき、決まって線香花火が最後を飾った。夜空のてっぺんで華やかに散るよりも、小さく静かに、それでも確かな存在感を残しながら、手元で消えていくほうが、僕も彼女も好きだった。 小学校のときから、毎年僕たちは花火をしていた。それ…

揺らぐ日常と確かな言葉

「日常」という言葉について思う。それは「普通」という言葉と同じくらい、不確かで、危うげで、もろいものなのかもしれず、だからこそ、そういったはかなさを実感したとき、その瞬間をいとおしく思い、大切にしようと思える。そんなことを考えさせてくれる…

物が語るうつくしさ

買わない理由が見つからない。そう思った本がある。 小川洋子 クラフト・エヴィング商會 『注文の多い注文書』(筑摩書房) 大好きな作家である小川洋子さんが、吉田篤弘さんの『針がとぶ』(中公文庫)の帯と解説を書かれていたことでさえうれしかったのだ…

猫を拾いに行きたい

川上弘美さんの『猫を拾いに』(マガジンハウス)を読み終え、感想をツイートしたものをまとめておきたい。思いつくままだらだらとツイートしてしまったために、それなりの量がある。これなら初めからここに書けばよかったと思った。 川上さんの言葉はいつも…

言葉の窓辺でまどろむ

窓際に座って外を眺めるという行為には、いつでもどこか魅力的な何かを感じる。高さのある場所から、普段とは違う視点で、眼下に広がる景色を見ていると、地上からは見慣れているのに、しばらく眺めていたいと思う。交差点を行き交う人々を窓から見下ろすこ…

吉田篤弘さんばかり読んでいた

twitter上で、深夜に突発的に文章が書きたくなり、書きつづった吉田篤弘さんの本への所感を、流れていくのがもったいないのでまとめておきたい。ツイートに、少し手直しも加えつつ。 何か一つのことに打ち込む様子を表す助詞「ばかり」の持つ魅力を、吉田篤…