2022-05-01から1ヶ月間の記事一覧

まるい鏡が映すもの

偶然のめぐり合わせで出会った人が、どこか遠く、忘れてしまった記憶の彼方で出会っている人だったらと、現実と物語のあいだをたゆたうように本を閉じる。それが幻想でも妄想でも、そんなふうに現実を意味づけられたら、少しは強く生きられそうな気もする。…

わずか一点の綻びから

長い歳月をかけて緻密かつ繊細に作り上げられた完成品が、一瞬にして崩れ去る瞬間というのは、儚いながらも名状しがたい美しさを放つ。それは打ち上げ花火が夜空に開花する瞬間や、桜が散りゆく瞬間に代表されるような、日本的な美の性質と言えるのかもしれ…

祭りの後

尾道への再訪と、東尋坊への突発的な挑戦を経て、考え続けていたのは人間関係のことだった。 大学時代のことを振り返って、もっと人間関係を広げておけばよかった、と一人旅をしながら思う。 当時、片道2時間の通学をしながら、専攻の友人たちと本や研究の話…