地上の見えない沼の深みへ

 前回の万年筆(AURORA オプティマ)購入記事から2ヶ月となるが、万年筆はそこから4本増えている。手書きによる幸せが、紙やインクの沼に沈むことによって加速し続けている。自分の気に入ったインクで文字を綴る幸せが、日々の癒やしになった4ヶ月だった。

 

 手書きを書いて、写真を撮って、送り合う。アナログな手段を楽しみながら、本来なら日数を要する部分には、デジタルの力を借りる。入力された文字よりずっと、言葉に込められる気持ちは大きくなる。

 そのやりとりに共感し、喜んでもらえる相手がいることが何よりの幸せで、そこに幸せを見出せるなど、去年の今頃は予想だにしなかった。きっかけを与えてくれたものすら筆記具で、「はまったら人生が変わった」と言って、何ら差し支えないところまでたどり着いたと思っている。

 

 オプティマを購入してから約2週間後、神戸紙フェスに行ったことが、さらなる沼に沈むことを決定づけた(本当は11月の日記に書きたかったのだけれど、まとまった時間がなくて書けていなかった)。

 購入したグラフィーロ(神戸派計画)は、インクがぬらぬらと滑っていく書き心地の虜にさせ、Pallet Paperのダンデレードとサンシルキー(富国紙業)は、書きごたえと滑らかさを堪能できる紙質がたまらない。罫紙A5横書き(廣運舘活版所)の書き味も優秀で、丁寧に文字を書きたくなる。

 

 その後も、山本紙業のWriting Padを3種類(トモエリバー、Bank Paper 高砂プレミアム、New Chiffon Cream)買い揃えた。今はその日の気分に合わせて、どの紙に、どの万年筆で書くかを選ぶ楽しみも味わっている。

 

 円安によって、海外製の万年筆の価格高騰が止まらないことが残念である。今年中に買わねばと、TWSBIのダイヤモンド(ネイビー)と、Watermanのエキスパートエッセンシャルを、11月、12月に購入した。そこに、特別限定生産品である、国内メーカー、SAILORのヴェイリオ(ブルーグリーン)も買ってしまったので、散財はとんでもないことになっている(その分、今年はほとんど本を買っていないのだけれど、それはそれであまりよいことではない気はしている)。

 

 すべて、書き味にはそれぞれの良さがある。所有するだけでなく、使い続けることによる楽しみがある。比べることで良さを再認識したり、インクを入れ替えて、優先度を上げたりしながら、書くということを愉しみ続けたい。

 

 書き味の追求は、来年も続けていきたくはあるけれど、あくまでも、使える範囲での購入にとどめたいと思っている(使わなくなってインクが固まることは避けたい)。だから、誕生日だったり賞与をいただけるタイミングだったり、節目での購入を目指して、いろいろと調べているところである。

 

 月1回の更新を目標としていた2022年だったけれど、2月と11月だけ更新のタイミングを逃してしまったのが悲しいところ。手で書くことも大切にしながら、こうして公開する記事も、おろそかにしないようにしたい。