2023-01-01から1年間の記事一覧

櫓を仰ぎ見る

講義録ひもとく真昼ねむたさは書庫のにほひを伴ひて来ぬ 一首目を読んだときにあふれ出した記憶に、それが今なお自分の中に確かに残り続けていることに震えた。それは紛れもない、あの「書庫」であり、絶版本や遠い昔の文芸誌のバックナンバーを読み漁りに彼…

ごちそうさまでした、と言いたくなって

「食はひとの生理と文化のはざまでいつも揺れている」というのは、鷲田清一氏の言葉で(※)、人間は食べずには生きていけないし、共食が人とのコミュニケーションの大切な手段とされているのは、歴史的にも明らかなことである。けれど、食に対する好き嫌いや…

頂への道しるべ

書くという行為の追究と、それに対する欲求が、衰えることを知らない。シャーペンやボールペンへの愛着から、書き味を追い求めて万年筆に手を出したのが昨年9月。マルマンのルーズリーフから、山本紙業のWriting Padをはじめとする紙の比較にのめり込み出し…

日常に打った点と点をつないで

2022年の1月24日から使い始めたA5の365デイズノート(STALOGY)が、そろそろ最後のページを迎えようとしている。昨年の1月27日の記事に、その書き始めのことを記したときに、「使い切ることを目標に」と掲げていた。実際のところ、1年と約1か月で、全ページ…