2013-09-01から1ヶ月間の記事一覧

死をもって語るその声に、静かに耳を傾けること

――あの人たちは何も語らなかっただろうか。あの人たちは本当に何も語らなかっただろうか。あの人たちはたしかに饒舌ではなかった。それはあの人たちの人柄に先ずよっていた。 佐多稲子 『樹影』(講談社文芸文庫) 引用した書き出しから、まっすぐな問いが飛…

人々は祈り、また海に出る

日々を無事に生きていきたいという思いは、自然と祈りというかたちをとって現れる。人間の力の決して及ばない場所に、特別な何かの存在を生み出して、人々は祈りをささげる。一日でも長く生きようとする思いに、善悪はあるのだろうか。 吉村昭 『破船』(新…

息切れ

自分ひとりにできることなんて限られている。とは、よく聞くのだけれど、経験を重ねていくと、できることの幅が広がって、時間さえ確保できれば何とかできるはずだと無理しようとしてしまうことが、最近多い。 任されることの多くは、自分だからこそできるこ…