2023-08-01から1ヶ月間の記事一覧

櫓を仰ぎ見る

講義録ひもとく真昼ねむたさは書庫のにほひを伴ひて来ぬ 一首目を読んだときにあふれ出した記憶に、それが今なお自分の中に確かに残り続けていることに震えた。それは紛れもない、あの「書庫」であり、絶版本や遠い昔の文芸誌のバックナンバーを読み漁りに彼…

ごちそうさまでした、と言いたくなって

「食はひとの生理と文化のはざまでいつも揺れている」というのは、鷲田清一氏の言葉で(※)、人間は食べずには生きていけないし、共食が人とのコミュニケーションの大切な手段とされているのは、歴史的にも明らかなことである。けれど、食に対する好き嫌いや…