2011-01-01から1ヶ月間の記事一覧

一息に駆け抜けたあとに

しばらくは読まないだろうと思われていそうであれば、すぐさま読んでみようかと予想を裏切りたくなる。読み手の思い込みを覆すのが書き手である。鮮やかな方法で、そのようなことが小説として試みられている作品を読み終えた。 道尾秀介[著] 『向日葵の咲か…

危険すぎる東北への旅路

東京発、盛岡行きの新幹線に、殺し屋たちが乗り合わせる。それぞれの思惑が錯綜するなか、列車は北へ北へと疾走する。 伊坂幸太郎[著] 『マリアビートル』(角川書店) 『グラスホッパー』(角川文庫)の続編という位置付けとして書かれた、殺し屋たちの物語…

形見の声に耳を澄ませて

小川洋子[著] 『沈黙博物館』(ちくま文庫) 久しぶりに読み終えたこの小川作品は、実は就職活動中に購入したものである。どういうわけか読みかけて途中でやめてしまって、積んであったままだった。読みたくて買ったはずが、枕元に置きっぱなしにされ、あた…

人間の起源を探る旅へ

長旅が終わった。2週間かかった。小説のなかの、キルギスへの旅である。 津島佑子[著] 『黄金の夢の歌』(講談社) いろんなことがあった合間に読み進めていたので、レビューを書けるだけ読み込めていないということをご了承いただきたい。ということで、考…

東京・レポート(表参道編)

1月17日(月) 小説のなかで見た表参道と、季節は真逆だった。葉が落ちきった欅の並木道を、寒そうにしながら多くの人が行き交っている。けれどみんな表情は楽しそうで、通りは幸せに満ちた賑わいに溢れていた。人が多いからなのか、やっぱり京都に比べると…

京都・レポート

昨晩あんなことを書いておきながら、そうは言っても書き残しておきたいできごとはあったので、今さらだけれど改めて書こうと思う。 1月12日(水) 奈良レポートの翌日、実は高校時代の友人と、「まだ行っていない場所めぐりin京都」第一弾を決行した。お互い…

発信するかたち

最近なかなか本を読み終わらないせいで日記が書けない日々が続いています。 でも、本を読まなくても書くことがないわけではないし、何かしら書けばいいんじゃないかという声が聞こえてくる気がしないでもない、こともないんですけど(謎) とりあえず言いわ…

奈良・レポート

津島佑子さんの『ナラ・レポート』(文春文庫)を読んでからというもの、とりあえずもう一度大仏を見たいという思いが拭えず、じゃあ見に行くかとふらっと奈良公園まで行ってみた。 なんせ電車で10分なのである。近い。近いからこそ全然日頃は行く気にならず…

人間ってなんですか

山崎ナオコーラ[著] 『人のセックスを笑うな』(河出文庫) 実はまだ読んでいなかった、ナオコーラさんのデビュー作である。大学生協にて河出文庫が20%オフだったこともあって、年末に買って、昨日読み終えた。 インパクトのあるタイトルで(ナオコーラさん…

迎春

あけましておめでとうございます。 昨日は正月らしく日記もお休みをいただきまして、筆者本人は恒例の初詣に行っておりました。思えば、2010年は1年間ブログを書き通してきたので、自分が何をして何を思っていたのか、読み返せば心の足跡をずいぶん克明にた…