束の間の非現実にて

 伊坂幸太郎[著] 『オー!ファーザー』(新潮社)


 東京へ行った帰りに京都で買った本です。まあ買った場所はともかく、おととい読了しました。久々に読んだ伊坂作品ですが、新聞での連載が終了して3年が経ってからの刊行ということもあって、あとがきで「第一期の最後の作品とも言える」と述べられているように、高校時代に読んだ作品群の特徴を思い出させる小説でした。
 また、これもあとがきで「物語があまりに自分の得意な要素やパターンで作り上げられている」という言葉があって、挑戦の足りなさを伊坂さん本人が自覚していたとのことですが、それがかえって「伊坂作品らしさ」を全面に出していたように思います。


 内容としては、父親が4人いる高校2年生の由紀夫くんが知らぬ間に事件に巻き込まれる感じです。ある程度現実的な世界を舞台に、常識から軽妙に逸脱した物語が構築されています。突飛な要素がクライマックスに密接に関わっていたり、洒脱な会話が繰り返されたり。


 とはいえ、やっぱり物語の構成の面白さが際立つ小説なので、内容に詳しく触れずに感想を述べ立てるのは結構難しく、面白かったなー、ぐらいしか言えません。


 ということで。久々の更新ですがこの辺りで終わります。
 書くべきことはいろいろある気がしますが、またそのうちじっくり書きます。