京都・レポート

 昨晩あんなことを書いておきながら、そうは言っても書き残しておきたいできごとはあったので、今さらだけれど改めて書こうと思う。


 1月12日(水)


 奈良レポートの翌日、実は高校時代の友人と、「まだ行っていない場所めぐりin京都」第一弾を決行した。お互い大学は京都だというのに、自宅から長時間かけて通っているからなのか、ろくに観光をしていないという、もったいない大学生活を送っていたのである。
 大学の友人に、ここも、こっちも行ってないねんと言ってみたら、信じられないという顔で見られたので、わりと慌てた。残り少ない京都での学生生活を、このまま終わるわけにはいかない。というわけで、長い終わりの始まりである(何)


 で、どこに行ったかというと、
 平安神宮銀閣寺→恵文社一乗寺店
 というルートで、詳しい人ならピンとくるであろう、市バス5番系統途中下車の旅である。市バスは乗り慣れているけれど、見知らぬ場所へと向かう道すがら、景色が移り変わるのを見ているのは楽しい。


 奈良観光の翌日に京都観光をしたわけで、寺社めぐりしまくってるなあと友人に言ったら、「神々しい日々」と言われた。そうかも、と思った。


 奈良観光の際、春日大社でおみくじを引いたら大吉だったのだが、平安神宮ではどうだろうと思って引いてみたら、なんと人生初の凶が出た。素敵な場所だなと思い出に刻もうとした瞬間のできごとである。
 ぞっとして、さらっとだけしか読まずに結んだ。
 とりあえず書かれていたことには注意すべきだと思いつつも、初詣で薬師寺にて引いた吉を、ただただ信じるのみである。


 そして銀閣寺である。金閣寺は大学のすぐそばにあるので、1回生のときに修学旅行生気分で遊びに行ったのだけれど、銀閣はなぜか行こうと思うことがないまま日々を過ごしていた。銀閣という名のわりにはシルバーな感じがゼロだというのはおそらく歴史の教科書で誰もが知ることだと思うのだけれど、行ってみて、雰囲気は正直金閣より好きだと思った。
 金閣ほどにぎわっていないからこそそう思えたのか、庭園の落ち着いたしぶい感じが結構気に入った。シルバーじゃなくても行くべきだと思う。


 そのあと、最後に行った場所は、知る人ぞ知る「本にまつわるあれこれのセレクトショップ」、恵文社一乗寺店である。何の番組だったか忘れたけれど、特集が組まれていて、それを観てからずっと行きたかった場所だった。大学の友人にもあそこはいいよと勧められたうえ、その日一緒に観光していた友人すら一回行ったことがあるというので、せっかく近くまで来たのだから、どうしても行かねばと思った。
 京都駅から1時間ほどかかる郊外だから非常に行きにくい場所なのだけれど、また行きたい素敵なところである。


 店内に入ってすぐ、テレビで観たとおりの優しい雰囲気に包まれ、夢心地になる。ふつうの書店とは違って、本は小説やエッセイなどというカテゴリーでは並んでいない。「食べもの」や「住まい」、「旅」や「猫」など、日々の暮らしに基づいたカテゴリーで、出版社もばらばらに、一つの本棚にいろんな本が並ぶ。
 関心のあるものごとから出発して本を見ていけるから、それまで手に取ることがなかった本との出会いが誘発される仕組みになっている。


 結局、1時間半店内にいた。あまりに幸せな空間だったので、すべての本棚をつぶさに見るまで帰れなかった。一緒に行った、本をそれほど読まない友人には悪いと思いつつも、何度となく気になる本を手に取って読んでは別の棚を眺めるのを繰り返していた。


 と、書いてしまえばなんと平安神宮より銀閣寺より、恵文社に心を奪われてしまった旅だったと言える。とはいえ2日続けて寺社をめぐって、やっぱりあっちこっち行きたいなと決意を新たにした。
 第二弾はいつになるのか未定だが、京都観光はまだ終わるわけにはいかない。