波紋を待つように

 今の自分がどのようなことを考えて日々を過ごしているのか、それを言葉にせずにいると、何かがくすぶり始めるらしい。種火は燃え上がることなく、煙ばかりが立ち昇る。話すことも書くことも、やはり大切なのだと思う。どちらか一方だけでは、なかなかうまく生きていけないという気がした。文字に起こし、文章として残すことが、確かにそのとき何かを考えていたのだと刻印することになる。思ったことを自由に書く行為も時間も、とても貴い。


 仕事で書かざるをえない文章のルールが窒息しそうなほど苦しくて、これほど自分は書くことが不得手だっただろうかと思わされる。画面に向かってキーボードを叩くこと自体が、仕事のつらさを思い起こさせるようで、きつかった。過去形で書いたのは、それが今はそうではないと断言できるからではなく、こうしてブログを更新していることによって、そうではないと自覚しようとしているからである。


 一つ歳を重ねて、考えなくてはならないことがまだまだたくさんあることを思う。言葉を磨くことを怠ってはいけない。凪いだ水面に突如立つ波紋を見逃すまいと、じっとそれを見つめる姿勢を。波打った瞬間をきちんととらえ、表現する準備を。


 書くことの先に何があるのか、いまだにわからないけれど、それでも、書くことが生きることなのは変わらない。書けないでいる自分への戒めも込めて、次の一年をスタートさせたい。