振り返る

 昨年も一昨年も、大晦日の午前中まで仕事だったせいで、ろくに一年を振り返ることができないまま、新年を迎えた。今年は正月休みが一日少ない代わりに、大晦日にこうして休みをいただいたので、一年を振り返りたいと思う。


 2年間勤めた場所を異動することになり、さらに責任が大きい場所も任されて、どうなることかと思ったけれど、これまでの2年以上に充実感のある年になった。責任の重さに押しつぶされることなく、それが自分を動かす力になるように、飛躍できたと思う。改めてそんな今年を思い返すと、それまでの2年が実は結構しんどかったのだなと思える瞬間もあり、成長しているのを実感したような気がする。


 仕事が日常の大半を占めるのはもう仕方ないにしても、twitterではたくさんの出会いがあり、読書の世界に広がりが生まれたのも大きい。小説を書き上げることができたのは、仕事をしながらも、そこで出会った方々に、現在の自分に書きうる作品を読んでもらいたいという思いがあったからにほかならない。仕事で心が折れそうなときも、誰かがそれを受け止めてくれたり、何も言わなくても言葉を読んでくれたりする場所があったから、ここまで来られた。


 書くことは生きること。ずっと昔から掲げているその座右の銘のような言葉を、改めて思う。言葉を紡ぐことで思いがかたちになり、文章を書くことでそれが確かに伝わる。伝わることそのもののよろこびももちろん大きいけれど、そこに、向こうに誰かがいるというそれ自体が、本当に心強い。


 言葉だけでは伝わらないことは当然あるにせよ、関係を築き上げていけば、伝わらなかったはずのことが、いつしか相手に響き渡ることもある。危うげな言葉のみのつながりでも、確かなものにしていきたい。そんなことを強く思う。


 来年の抱負はまた年が明けてから書こうと思うけれど、充実した今年に満足することなく、もっともっと楽しい一年にしたいと思っている。支えてもらっている人たちへの感謝を一つずつ返していけるような年にできれば。そして、今年書き上げたもの以上の文章が、かたちにできればと考えている。