現状を見つめて

 年齢を重ねることが、確かな自信になればいい。そんなふうに思う。昨年の今ごろは、先輩に食事をおごってもらって、祝福していただいた。右も左もまだよくわからない状況で、働けることそのものを、とりあえずは喜んでいた気がする。
 一年が経って、少し余裕を持ちつつ、改めて今という瞬間を見つめてみるならば、大学時代に漠然と持っていたイメージ以上に、有意義な仕事ができていると言える。
 大学にいたころと同じくらい本を読み、言葉について考え、その魅力をひとに伝えることに尽力する。学んできたことをアウトプットする対象が大きいぶん、確かな貢献の実感を持って、日々を生きることができている。


 確固たる自分自身の言葉で、自分の考えを他人に伝えられるひとを育てていきたい。そして、他人の喜びや痛みを想像しうる言葉を持っているひとを送り出していきたい。その結果として、世の中がよくなるかどうかまでは考えが及ばないけれど、言葉を操る幸せを実感できるひとがひとりでも多くなれば、それでいいのではないかと思う。


 一つの原点として、現在の思いを刻んでおく。