息切れ

 自分ひとりにできることなんて限られている。とは、よく聞くのだけれど、経験を重ねていくと、できることの幅が広がって、時間さえ確保できれば何とかできるはずだと無理しようとしてしまうことが、最近多い。
 任されることの多くは、自分だからこそできることなので、それはすごくありがたいことだと思っている。異なるフィールドで、いわばわらじを三足ほど履きながら仕事をしているようなものなのだけれど、ときどき気持ちがうまく保てなくなる。
 寝不足になってしまうのも大きな原因だと思う。ただ、下ろせない肩の荷を、背負ったままでどうにもできないこの状態に、多少の弱音を許してほしい。


 他人の忙しい、しんどい、という話を聞くのがすごく嫌な性分なので、自分の忙しい、しんどいを大っぴらに話したくない。が、吐き出さないと精神的に滅入る。そもそもそれを聞いてくれるひとがどこにいようか。


 さみしいのと、肯定されたいのと、言ってしまえばわがままでしかない欲求がついてまわり、自分本位な考え方しかできない、大したことのない人間に、自分のことが思えてくるのだった。


 仕事に行けば、こうして悩んだことすら忘れて、普段の自分に戻る。
 帰ってきてしばらくは、気持ちは高揚しているけれど、少し落ち着けば、いろいろと考える。過去を顧み、現在を見つめ、未来を憂う。


 誰も助けてくれない。わかっている。頑張るしかない。
 仕事そのものは楽しいのだから。呼吸を整えて、また走り出す。