物書きの上腕二頭筋

 物を書くことが好きだからと言って、出版社や新聞社で働きたいということにはならない。当然のことではあると思う。
 さらに、小説を書いているからと言って、ESが楽に書けるということにもならない。言葉のニュアンスに誤解が生まれないように書きたいからこそ、形容詞だとか副詞を多用したい思いがあるし、同時にわりと長めの文章を書くのも好きだからこそ、簡潔にまとめるのに苦労する。
 要するにどういうことですか、と面接官に訊かれたら終わりと思っていい、と聞いたことがあるけれど、上述した書き言葉に関することが話し言葉にも当てはまるので、結構まずいんじゃないかと思っている。
 なんとなくおわかりだと思うけれど、今まで書いてきた日記に対して、要するにどういうことですか、という問いを投げかけたら、文章量が一気に五分の一以下になるんじゃないかという気がするぐらいである(いや、もっと少ないかもしれない)。
 ついでに言うなら、小説を書くというのは、自分のなかにあるものを婉曲的に、あるいは比喩的に一つの物語に仕立て上げるということであって、そういう書き方だからこそ楽しく書いていられると、多分言える。つまり、直接的に自分の内面を、しかも真実を、書いたり喋ったりしなければならないというのは、力のふり絞り方がまったく異なる。使う筋肉が違うと思う。


 で、別に後ろ向きなことを今さら言うつもりはなくて、結局何が言いたいかというと、そういう意味で最近筋肉痛だということである。しかし、筋肉痛を経て、筋肉は鍛えられる。でもとりあえず痛いので、湿布代わりに好きな小説を読んでいたりする。大体好きな小説は温湿布なんじゃないかと思う。




 テストセンターの受検が近いため、悪ふざけをする余裕がありません(汗)