刺激に満ちた休養

 7月の終わりから始まった夏期講習もようやく終わって、本日は社員旅行へ行ってきた。今日と明日が休みで、本来なら小豆島へフェリーに乗って行くはずが、台風の接近により、日帰りの神戸旅行に変更になった。
 とはいえ、近いのになかなか行く機会がなかった神戸へ、行くことができてうれしい。兵庫県には岡山へ旅行に行く途中に車で通ったぐらいで、あとは小6での六甲山人工スキー場とか、小学校低学年での須磨水族館とかいう記憶しかない。どういうわけか、神戸に行くことが全然なかったのだった。


 風の強い曇天のもとで、当初の予定にはまったくなかった神戸散策ではあったけれど、神戸市立博物館での「山本二三展」に行けたのは怪我の功名だと思う。『天空の城ラピュタ』のロボット、『もののけ姫』の獅子神の森、『火垂るの墓』の駅――言わずと知れた名作を支える世界観の根源がそこに見てとれる、そんな瞬間の連続があった。
 絵画作品に触れることが久しぶりたったせいか、心が潤っていくような思いで、一つひとつの絵を眺めていた。現実の世界からは遠いその風景に心動かされる理由を改めて考えていると、やはり言葉を紡ぎたくなる。
 虚構でありながらそれは、確かに現実とつながる景色である。重ね続けられた記憶がふとした瞬間に呼び起こされ、懐かしさとともに現在の自分に微かな変化をもたらす。
 日常が、少し変わって見える感覚、見慣れていたものの存在を、改めて意識する瞬間がそこにあって、言いようもなくそれが心地よい。


 知らない場所へ行くだけでも心が豊かになるのに、そこで作品を享受するならなおさらだろう。素敵な思い出が神戸でできたと思っている。


 ただ、それだけではない。地区別で決行された社員旅行、メンバーに同期はおらず、どうなることやらとずいぶん気に病んでいたのだけれど、杞憂に終わってほっとしている。もちろんもっと気を遣うべき部分はあったかもしれないが、それでも社内の雰囲気になじめるぐらい、少なくとも居心地の悪さは感じられないぐらいは慣れてきたことを実感した。
 素敵な人たちに恵まれて仕事ができることを、幸せに思う。