氷山の一角

 書店に行って思ったことを好き勝手に喋ります。ご了承ください。


 柴崎友香[著]『寝ても覚めても』(河出書房新社)にまったく手をつけていないにもかかわらず、気付けばエッセイの『よそ見津々』(日本経済新聞出版社)がもう出てしまいましたね。
 今月は立て続けに発売されると知ってはいましたが、正直小説のほうより先に読みたいなあと思いつつ、新刊の棚を見て驚いたのは平積みされていた伊坂幸太郎の『マリアビートル』(角川書店)!
 まだ6月末発売の『バイバイ、ブラックバード』(双葉社)も読んでいないというのに書き下ろしの新刊とは! しかも『グラスホッパー』に続く殺し屋の話と聞けばもう買うしかない、んですが、読みたい本リストと積読リストはそれを許してはくれません。


 小川洋子の『沈黙博物館』(ちくま文庫)を取り急ぎ読まなければならないうえ、金井美恵子の『愛の生活・森のメリュジーヌ』(講談社文芸文庫)もまだとってあるし、古本屋で見つけた川上弘美の『真鶴』(文春文庫)とか佐多稲子の『あとや先き』(中公文庫)も積んだまま。
 文庫からとりあえず読み崩していかないとなあなどと考えながら文庫の棚に行ってみたら、なんと堀江敏幸の『ゼラニウム』が中公から文庫化されているではないですか! 2002年に出た単行本はどの書店にもないので文庫化を待つしかないなとかねがね思っていたので、予想外のできごとに積読状況が一瞬脳内から吹っ飛び、レジまっしぐらです。まだ『おぱらばん』(新潮文庫)も読み終えていないというのに……。


 しかし文庫本のほうも読みたい本はかぎりなく増え続けています。山川方夫の『夏の葬列』(集英社文庫)とか福永武彦の『忘却の河』(新潮文庫)が気になっていたり、金井美恵子の『小説論 読まれなくなった小説のために』(朝日文庫)も読まなければと思ったり、笙野頼子の『金毘羅』(河出文庫)の表紙がカッコよすぎると思ったりしてます。


 とか言いながら、現在読んでいるのはマイケル・ゲルヴェン[著] 長谷川西涯[訳]『ハイデッガー存在と時間』註解』(ちくま学芸文庫)と松岡正剛の『フラジャイル』(ちくま学芸文庫)です。特に『フラジャイル』がかなり面白い。これまで大学で受けてきた講義のほとんどにかすっているんじゃないかと思うほど多岐にわたる学問分野からの記述はまさしく知の冒険です。
 今半分を少し過ぎたあたりなので、読み終わればまた感想が書ければと思っています。