一抹の何か

 何かあったわけでもないけれど、若干気持ちが落ち込み気味である。
 いろいろと理由は思い当たらないでもない。


 でも、多分シンプルに人恋しいのかもしれない、と思う。
 “人恋しさ”というのはしかし、人によってずいぶんと指し示す範疇が異なる言葉だから、本当はもっと別の言葉で表現するべきものなのだろうな、と思ったりもする。


 自分にとってそれは何なんだろう、と少し考え、手元にあるESの用紙を眺め、考えるのをやめる。今週は採用に関わる説明会が続くから、おそらく気がまぎれてその“人恋しさ”も消えてしまうのかもしれない。


 消えてしまう程度のものならそんな大仰に言わなくてもよさそうなものだと、第三者的に言ってしまえるからこの感情は少なからず厄介である。


 別に悩んでなかったやんけ、と後から思うこともある。もしかしたらそうかもしれない。自分の中にある前向きさというものの正体は、後ろ向きな感情に支配されている自分への嫌悪感だったりしないだろうか。