厳選、私の50冊

 夏である。暑さについては言うまでもないが、書店では来たる長期休暇に向けて「夏の100冊文庫フェア」なるものがどこでも開催されている。
 というわけで(どういうわけだろう)、「私の100冊」と題してこれまで読んできた本をピックアップすればどうなるか、ちょっと考えてみた。さすがに100冊は多いので、その半分、「私の50冊」として並べてみたいと思う。少なからず人生に影響を与えている個人的名著である。
 なお、好きな作家は2冊挙げている。偏った読み方をしているのが一目瞭然だが、何とぞご了承いただければ。ちなみに、上下巻は1冊と数え、文庫化されているものは読んだのが単行本であっても出版社ではなく文庫と書いた。


1.青山七恵 『ひとり日和』(河出文庫
2.青山七恵 『魔法使いクラブ』(幻冬舎
3.池澤夏樹 『スティル・ライフ』(中公文庫)
4.伊坂幸太郎 『オーデュボンの祈り』(新潮文庫
5.伊坂幸太郎 『ゴールデンスランバー』(新潮社)
6.伊藤たかみ 『八月の路上に捨てる』(文春文庫)
7.絲山秋子 『沖で待つ』(文春文庫)
8.遠藤周作 『沈黙』(新潮文庫
9.恩田陸 『麦の海に沈む果実』(講談社文庫)
10.小川洋子 『密やかな結晶』(講談社文庫)
11.小川洋子 『猫を抱いて象と泳ぐ』(文藝春秋
12.梶井基次郎 『檸檬』(新潮文庫
13.川上弘美 『神様』(中公文庫)
14.川上弘美 『ユリイカ9月臨時増刊 総特集 川上弘美読本』(青土社
15.川上未映子 『ヘヴン』(講談社
16.川端康成 『雪国』(新潮文庫
17.北村薫 『ターン』(新潮文庫
18.幸田文 『包む』(講談社文芸文庫
19.佐多稲子 『時に佇つ』(講談社文芸文庫
20.柴崎友香 『きょうのできごと』(河出文庫
21.柴崎友香 『ショート・カット』(河出文庫
22.笙野頼子 『笙野頼子 三冠小説集』(河出文庫
23.須賀敦子 『ユルスナールの靴』(河出文庫
24.高村薫 『李歐』(講談社文庫)
25.竹西寛子 『国語の時間』(河出文庫
26.谷川俊太郎 『二十億光年の孤独』(集英社文庫
27.多和田葉子 『ゴットハルト鉄道』(講談社文芸文庫
28.多和田葉子 『カタコトのうわごと』(青土社
29.中島敦 『李陵・山月記』(新潮文庫
30.長嶋有 『猛スピードで母は』(文春文庫)
31.長嶋有 『夕子ちゃんの近道』(講談社文庫)
32.中村文則 『掏摸[スリ]』(河出書房新社
33.保坂和志 『書きあぐねている人のための小説入門』(中公文庫)
34.星新一 『ブランコのむこうで』(新潮文庫
35.穂村弘 『絶叫委員会』(筑摩書房
36.堀江敏幸 『雪沼とその周辺』(新潮文庫
37.堀江敏幸 『正弦曲線』(中央公論新社
38.本多孝好 『MOMENT』(集英社文庫
39.本多孝好 『チェーン・ポイズン』(講談社
40.松浦理英子 『葬儀の日』(河出文庫
41.宮沢賢治 『銀河鉄道の夜』(新潮文庫
42.宮本輝 『蛍川・泥の河』(新潮文庫
43.村上春樹 『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』(新潮文庫
44.村上春樹 『海辺のカフカ』(新潮文庫
45.村山由佳 『永遠。』(講談社文庫)
46.山田詠美 『ぼくは勉強ができない』(新潮文庫
47.よしもとばなな 『キッチン』(新潮文庫
48.よしもとばなな 『デッドエンドの思い出』(文春文庫)
49.フランツ・カフカ 『城』(新潮文庫
50.フランツ・カフカ 『カフカ短編集』(岩波文庫


 こんな感じかと。恥ずかしながら海外文学に疎いのがバレてしまう結果のような。最近は読まなくなった作家も多いけれど、そのつど影響を受けた作品の数々であり、今も自室の本棚に並んでいる。惜しくも50冊に選ばれなかった本もある反面、この中で是が非でも人に薦めたい本もある。
 それらを「とっておきの10冊」として選び出すと、以下のようになる。


伊坂幸太郎 『ゴールデンスランバー』(新潮社)
小川洋子 『密やかな結晶』(講談社文庫)
川上弘美 『神様』(中公文庫)
幸田文 『包む』(講談社文芸文庫
佐多稲子 『時に佇つ』(講談社文芸文庫
柴崎友香 『きょうのできごと』(河出文庫
須賀敦子 『ユルスナールの靴』(河出文庫
長嶋有 『夕子ちゃんの近道』(講談社文庫)
堀江敏幸 『雪沼とその周辺』(新潮文庫
村上春樹 『海辺のカフカ』(新潮文庫


 この10冊どれかを好きだと言う人がいたら、ものすごく仲良くなれるんじゃないかという気がする。しかし、今回挙げた50冊もその中の10冊も、あくまで現時点でのものであり、今後まだ見ぬ素敵な本との出会いは間違いなく続いていくだろうと思う。
 読んできた本、好きだとおもう本は、少なからずその人の内面を表す。幅広い価値観を受容できる、深みのある人間を目指して、これからも読書を続けていこうと思うしだいである。