かえりみる

 明日以降、中学、高校の友人と会う機会が続きます。


 変わるもの、変わらぬものがそれぞれあって、すべてにおいて流れる時間は別の種類のものなんじゃないかと思わせるような、そんな経験を、いつも五感で味わいます。ひとはそれを「懐かしさ」と名づけ、過去を慈しみ、現在を肯定し、未来に向き直ります。
 目には見えない時間や記憶といったものの輪郭を、一瞬だけつかめるようになる場所、もの、ひとが誰の中にもあるのだと思います。「思い出」と呼ばれるそれに触れる瞬間は、立ちすくんでいる自分に次の一歩を踏み出させてくれる大切なひとときです。


 寄り添い続ける不安にわずかながら別れを告げるため、一つしかない現実のうえで、心ゆくまで楽しんでこようと思います。