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 久々にアンプをつないでギターを弾く。低音で刻むミュートの心地を感じるのはいつ以来だろうと考えてみたり、思うように指が動かないことに驚いてみたり。


 山田詠美[著]『ぼくは勉強ができない』(新潮文庫
 あまりに今さらなんですが、ようやく読みました。時田秀美くんが恰好良いのは言うまでもありません。


 小説っていうのは初めて読む時期というのがとても重要で、新しい本に出会うたび、そこに待ち受ける素敵な偶然を期待せずにはいられない。というのは多分、読書好きな人なら誰もがわかるとは思うけれど。
 明るく元気なとき、日々が楽しいとき、暗く落ち込んだとき、傷ついてさみしいとき、立ち直ろうと前向きになっているとき、などなど、読む瞬間の感情が様々あるなかで、それが過去の自分の人生の文脈にぴたりと合致し共鳴するとき、その小説は他の誰でもない自分にとっての名作になりうる。


 出会うべくして出会う本というのがきっと誰にでもあるし、それを本当にわかっているからこそ、誰かにとってそうなるような小説を、いつか自分が書けたらいいなとつねに考えてはいます。


 で、この小説ですが、人に薦めたいというよりは、個人的に今読んでよかったと思える気持ちが強いので、いつものように詳しくは書かないでおきます。秀美くんのような生徒を許容できる教師は今どれくらいこの国にいるんだろう、と思うばかりです。