停滞

 書くことをやめる瞬間が、彼らの世界が閉ざされる瞬間で、言葉に詰まったときが、息の根を止めてしまうときを意味する。書かれた存在である彼らが意思を持ち、こちらに語りかけてくるのを待つように、ただ原稿用紙を前にじっとしている。
 雨の中の停滞はまだ続くらしく、声を持たない彼と、文字を読めない少年との間に流れる沈黙は、緩やかに言葉を紡がせるのだった。
 耳を傾けるようにして、その沈黙が織り成す空気のわずかな震えのなかに生まれる、声の響きを逃さないために、息をひそめて待つほかにない。