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 宮部みゆき[著]『あかんべえ 上・下』(新潮文庫


 気忙しい中、通学時間と就寝前を利用して着実かつ一気に読みましたこの上下巻。友人のおすすめということで、薦められなければ絶対に読むことはなかっただろうなー、と読み終わってしみじみしてます。薦めてくれた友人がこの日記を果たして読んでいるのかどうかは謎ですが、つらつらと思ったことを書きたいと思います。


 江戸、ファンタジー、ホラー、ミステリー、人情、そういったもろもろをいい感じに混ぜると、こういう話ができるんじゃないかと思います。
 感想を事細かにいろいろと述べたいところですが、恥を忍んでまずは言います。


 面白かった!!


 久々に登場人物の多い小説を読んだので、縦と横のつながりを把握しながら読み進めるのに若干苦労はしましたが、質と量ともに読み応えは充分でした。こういう江戸なら全然いける。


 舞台は江戸、料理屋「ふね屋」を舞台に、十二歳の娘おりんの視点で物語は展開します。記念すべき船出の宴で、突然抜き身の刀が座敷で暴れ出し、ふね屋は亡者屋敷と呼ばれるようになってしまう。実際、ふね屋には亡者が住みついていて、おりんの身近なところに彼らは姿を現します。
 因縁の絡むその屋敷で、亡者たちとおりんの交流を中心に明らかになっていく過去――。


 こういう、ストーリーそのものを楽しむ小説は、ページをめくるのが本当に楽しいわけですが、ネタバレなしに内容を説明するのが非常に困難ですね。
 何が面白かった、とか、どの場面がいい、とか、すごく言いづらい。普段読んでいるものだと、ストーリー以上に人物の描き方に注目して、そこから人間の本質について考えを拡張できたりするんですが、さすがにそうはいかないですね。
 でも、玄之介さんは格好良かったです。


 あれだけの登場人物を、しっかり人間味溢れる形で動かせるというのはやっぱり宮部さんの力量なんだろうなと思います。表現の仕方は違えど、芯のある人間が書かれているから、読んでいて惹きつけられました。
 読後の余韻もじわりと温かみのあるもので満足してます。


 さて、明日もドイツ語の外書講読の試験が待っています。あ、ついでにギリシア語もあったっけ(爆)
 江戸からライプニッツとかτεχνηに気持ちが果たして切り替わるのか。
 まあ、大丈夫だから日記書いてるんですけどね。