読書遍歴① 2002年~2003年

 文章を書いて生きていきたいと初めて思ってから15年ほど経つ。書くことそのものが仕事にはなっていないものの、「書くために読もう」と思ってからのほうが、それまでの人生より長くなりつつある。読み続けること、書き続けることを辞めたら、自分が自分でなくなるような気がして、それは気づけば生きることの一部になっていた。

 

 そして、この場所に誰にともなく綴り続けてもう10年ほどになる。改めて、自分の読書遍歴と呼べるものを、そのおよそ15、6年分を、思い出せるかぎり綴ってみたいと思う。

 

■14歳~15歳

 小説を自分で書くことを始めたのはこの時期で、書くきっかけはゲームの二次創作をふざけて書いてみたところからだった。作品名まで明かせば、テイルズオブエターニア、ファンタジア、デスティニー2に触れ、そのノベライズ本を読んだことが、いろいろなことのきっかけになっている。

 ただ、それ以上に、同時期に村上春樹の『海辺のカフカ』を読んだ経験は、人生において非常に重要なものになったと思う。冒頭から引き込まれる物語の展開、カラスと呼ばれる少年に誘われるように、膨大な知識と折り重なる比喩の海に飛び込むことになった。「文章でここまでのことができるのか」と純粋にそう思ったのを覚えている。読み終えて他の作品を手に取るまでは少し期間が空くものの、忘れられることのない作品に出会えたのは間違いない。

 

 中3で転校することになって、転校した先で出会った友人と、本の話をするようになった。電撃文庫で『キノの旅』が流行り始めるとともに、片山恭一さんの『世界の中心で、愛をさけぶ』、市川拓司さんの『いま、会いにゆきます』がブームになっていた頃である。いずれも読んで、どちらかと言えば市川拓司さんの作品を複数読んでいた。

 ライトノベルだと『アリソン』や『リバーズ・エンド』、『ダブルブリッド』、『イリヤの空、UFOの夏』などが懐かしい。一方で、村上春樹の『風の歌を聴け』や『アフターダーク』、フランツ・カフカの『変身』などに手を出してみるものの、さすがに読みこなせるだけの知識はなかった。他にも、いわゆる文豪と呼ばれる作家の作品に手を出そうとしては放置するのを繰り返していたのもこの時期だった。

 

 自分自身で書こうとしていた物語も、二次創作ではなくオリジナルのものに変わっていたけれど、ライトノベルに影響されたファンタジーの真似事のようなものだった。その中にあって異色だったと言えるものとして、宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』を読んだのはこの頃だったと記憶している。窓から見える銀河、星々が間近にあるような感覚に酔い、多くの人々がそうであるように、その世界観に影響された。もちろん真似ができるようなものでもなく、質感や色彩を表現する描写をなんとなく雰囲気だけ参考にしてみるようなことにとどまった。とりあえず、この時期に書いた小説は、他人に読まれるわけにはいかないと思っている。

 同時期、綿矢りささんが『蹴りたい背中』、金原ひとみさんが『蛇にピアス』で芥川賞を受賞され、『蹴りたい背中』だけをそのときに読んだのを覚えている。たぶんそのくらいの時期から、ライトノベルから離れようと思い始めた気がする。

 

 と、気がつけば中2、中3だけでそれなりの分量になった。続きはまたいずれ。謎の連載が始まってしまった感がある。